空華第二号

¥1,100

A5判
190ページ

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説明

 無刀会同人誌第二号です。
 今回初参加のことこと氏の「哀しい童話『鬼と桃太郎』」が巻頭を飾ります。この作品は、誰しもが知っている昔話「桃太郎」を捉え直して再構成したものであり、その上キリスト教の基本概念の「原罪」を否定するような救済概念を持ち出し、それを更にアダムとイブの蛇による破滅で否定した上に、その否定した蛇をも破滅させて全世界の終焉を予期するようなエンディングに導いています。これは一種のウロボロスではないかとも思われます。なかなか味わい深い作品なので、お勧めです。
 その次に、トート氏の「闇の中のトート『存在に迫る』」が掲載されています。これらの詩歌群は、集約的な言葉で核心を突くような語り口調で、多くの読者を魅了します。その散文を味わい読むと、心の中に芽吹く喜びのエネルギーが、著者から読者に伝わり行くものと思います。
 三番目は、進藤伐斗氏の「高校生雀鬼・涯」です。麻雀のルールをあまり詳しく知らなくても、充分楽しめる内容となっています。その勝負哲学は、著者の将棋三段の腕に帰するところがあるのでしょうか、なかなか興味深く読めます。また、読者を捉えて放さないこの牽引力は、著者の秀でた才能によるものと思われます。
 ラストを飾るのが、大坪命樹の「仏化の劫火」ですが、この作品は新潮新人賞に応募されましたが、あえなく落選したものです。深みありげなタイトルと70ページあまりの長々しさの中に何を言い得たのか、作者自身少々反省しておりますが、それほど専門的でもなく恋愛テイストが混じったわりあい読みやすい作品です。
 このような、4作品のアンソロジーである「空華第二号」ですが、なかなか真実の花を咲かすにはほど遠いようです。
 まあ、同人誌「空華」は始まったばかり、これからを作り上げていかねばならないと、いたく感じているところです。

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