説明
大坪命樹の第二歌集。
大坪命樹は、源氏物語の世界に憧れて短歌を始め、黒瀬珂瀾さん主催の海市歌会や千原こはぎさん主催のうたそらに出詠するなどして、短歌を学びました。しかし、特定の結社に属することはなく、独学で短歌を研究しつづけました。そのため、現代短歌とは風合いの異なる、古文調の歌風になっております。
書名は、第一歌集「壊れし泉の井戸」の泉が、こころや無意識を象徴することから、その泉つながりで付けました。もとは、「鏡水の編み鰤」(鑑見ずの編みぶりと掛けた)という書名を考えていました。師匠がいない状態で、この歌集を編むことを言ったそのままの意味の書名ですが、あまり綺麗な響きではなかったために、表面的意味から表現を砕いて、シュールなイメージを喚起する「水にて編みし魚」としました。イトヨリダイという魚もいることですし、なかなか堂に入った書名ではないかと考えております。
内容は、愛妻・藍崎万里子との思い出を詠った歌が多く、そのほかに政治批判の歌もあります。いずれにせよ、素朴な歌が多いので、短歌に詳しくない人にも楽しんで戴けるかと思います。しかし、現代短歌とは毛色が随分異なるので、歌人の方々にもぜひ、読んで戴きたい一冊です。(大坪命樹)
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