空華第一〇号

¥ 1,000

A5判206ページ

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説明

第一〇号の紹介です。初めに、記念号企画として、「平成を振り返って」という同人メンバーによる対談を掲載しました。まさに令和に変わる直前に行った対談なので、「令和」という年号に対する各人の感想も述べられております。「平成」に対するおのおのの思いや「令和」に向けての希望などが語られ、なかなか興味深い対談になったと思っております。
小説のトップバッターは、藍崎万里子著「理白のはなし」です。夜行動物を飼う薔薇趣味の男と言うだけでかなり個性が濃いのですが、その彼が恋愛した相手も薔薇趣味の女性だった。その女性との恋愛の顛末やいかに? 薔薇で自身を塗さねばならなかった悲しい男の辛い深層心理の描写は、さすがというほかありません。主人公理白は、ただの自傷病で終わるのか、それとも……。精神を病む現代人に、一石を投ずる問題作です。
二番目は、冬月の「伝説教師X 特別話『十進法のX』」です。冬月さんは、X先生のXが10の意味であることから、今回特別話を創作してくれました。コンピューターの基本が二進数であることに疑問を持ったX先生は、人間の指が10本であることから、10進法同時演算コンピュータを作成しようと、苦心します。出来たコンピュータは、しかしながら、正統に評価されなかった……。今回は、特別話だけあって、少々風合いの異なった作品に仕上がっています。
三番目は、大坪命樹の「恁麼」です。第124回文學界新人賞に出して、歯牙にも掛けられなかった作品ですが、自分ではかなり気に入っている作品です。「恁麼」とは禅語で「それ」を意味し、ひいては「宇宙そのもの」「如来」を意味します。そのテーマをアブストラクト小説として表現しました。どこまで読者を得られるかが不安ですが、一人でも多くの人に、初めだけでも読んで戴きたい作品です。
四番目は、杜埜不月さんの「故郷に出会いを求めるのは……」です。彼の三作目ですが、それにしてはかなり面白い小説です。東京でシステムエンジニアとして勤めていた月岡透だったが、東日本大震災を機に故郷の富山にUターンすることになる。コンピュータに嫌気が差していた透は、溢れている職としての「介護職」を再就職先に選ぶ。そこで、中学時代の同級生の日野愛美に出会うのだが……。なかなかのヒューマンドラマです。
そしてラストは、お馴染みの「そらばなし書評」です。僕は、町屋良平著の芥川賞受賞作「1R34秒」を書評させて戴きました。藍崎万里子さんには、実質上初めての群像新人文学賞受賞作の古賀珠子著「魔笛」の書評を書いて戴きました。
以上のような記念号第一〇号ですが、オンデマンド版は割高になっており、またお届けまで少々お時間を戴いております。ここでしか手に入らない貴重なバックナンバーですので、ぜひお買い求め下さい。

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