空華第一八号

¥1,100

A5判
496ページ

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説明

 空華も、これで第一八号まで続けることができました。これも、同人のみなさまの協力のお陰です。この場を借りて、御礼申し上げます。
 三年目を迎える空華文学賞は、第五回を迎えました。今回は、倉多俊作さんの「六階建のR」が受賞しました。詩のようなリフレインの構造を持つ不可思議なストーリーは、展開ばかりではなく小説全体の作品としての構造もまたみどころです。著者のこだわりの技術を、味わってみてください。
 今回から「よんでみられ」というコーナーを作り、著名人に過去の空華文学賞を一編、批評して戴くことになりました。いつまで続けられるかは不明ですが、今回は若くから詩人として御活躍の城戸朱理さんに、第二回空華文学賞受賞作「毒を食らうぐらいなら」を批評して戴きました。
 短歌は、例によって大坪命樹と藍崎万里子の詠ったものです。現日本政権への問題意識を詠った「憂国の日」と、コロナに罹患した経験を詠った「なんで今になってコロナ?」が、収載されております。
 小説は、まず、同人外の藤野繁さんからの寄稿作品、「往来者」です。藤野さんは、富山の私鉄の子会社の広告代理店に勤める方ですが、その怒濤の半生の経験を生かした、広告代理店ならではの社員たちの栄枯盛衰の物語が描かれています。
 二番目には、藍崎万里子の「家族療法」。精神障害者の子供を持った家庭は、どこもぎくしゃくするものですが、その親子の軋轢が芸術によって解かれていくさまを描いた、少し主人公が可哀想でありながらも、こころあたたまる作品です。
 三番目は、新同人の沢ふみ子の「プレゼント」です。子育てが終り夫にも先立たれた老境の母親が、腰を患って入院する中で、さまざまな思いを抱いて、ついに第二の人生のスタートを切るという、歳を取った親の心境をうまく描いた作品です。
 四番目は、大坪命樹の「秋の乙女たち」です。大坪は、この小説を実母の傘寿のお祝いに捧げました。そのため、実母から聞いた結婚前の青春の想い出のエピソードを、織り交ぜてあります。乙女の秋は、男を始めて知る恋愛の季節。少女たちの恋愛ストーリーです。
 五番目は、深井了の「シャンゼリゼの狭い小路の奥の空間で」です。深井了の若き日の掌編小説と、それに対する解説にもなる老境の著者によるあとがきを掲載しました。深井の哲学に生きた半生の熱い魂が、行間に滲み出る作品です。
 六番目は、冬月の「異次元の数学者ラマヌジャン」です。またもや、冬月が奇抜な天才を描きました。冬月の描く数学天才は、どの人も奇想天外荒唐無稽な人物ですが、今度の天才はいかなる所行を見せるのでしょうか。ユニークな結末の傑作です。
 巻末には、いつもの通りそらはなし書評を付けました。読書のお供にどうぞ。
 以上のような第一八号でした。

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