説明
この小説は、大坪命樹が妻・藍崎万里子に結婚する前に、プレゼントとして捧げた小説です。
そのため、一応のモデルはこの二人になっていますが、かなり事実から離れた内容になっております。しかし、統合失調症の小説家志望の二人という基本的設定はおなじ で、そのうえで大坪が描いた若き小説家のたまごの二人のストーリーです。
しかし、それほどドラマティックなラブロマンスではなく、むしろほのぽのした物語です。それは、大坪のほかの小説と同様ですので、御安心ください。
統合失調症の男女の恋愛ストーリーとしては、なかなか明るい出来なので、当事者の方には是非読んで戴いて、元気を出してもらいたいです。統合失調症は、けっしておしまいの病気ではない、努力しておればそのうち良いことも起るのだということを、判って貰いたいという想いが、この小説には込められております。
箕崎透は僕がモデルで、矢野露美は妻がモデルです。統合失調症の妄想幻覚についてももっとリアルに表現したかったのですが、当事者ですらこれは難しいです。とくに幻覚は支離滅裂なので、一本の文脈のうえに載せると、途端に小さく収まってしまい、恐ろしさや迫力が伝わりません。なかなか共感を持たれにくい病気であるのも、症状の辛さが客観的に述べにくい所為もあるように思われます。
この小説は、そのようなことで、僕と妻にとって特別な意味を持つので、数万を出して表紙絵を描いて貰いました。現在も原画がリビングに飾ってありますが、なかなか味があって良い感じです。イラストレーターの赤坂正敏さんには、この場を借りて御礼申し上げておきます。
僕の中では、今までの中でも指折りの出来のよさの小説です。もし、僕の代表作をあげよと言われたら、迷い無くこの一冊を選びます。大坪命樹を試したいとお考えの方には、是非お勧めの一冊です。
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