説明
この作品は、密かに、学生時代からの親友だった方に、捧げた作品です。
はじめ、無刀会の方から、「次は記念すべき第五号だから、『5』にまつわる作品を書いてもらいたい」と言われて、私は、『5』といったら、カバラ密教の数霊学の『5』のことしか思いつけなくて、親友が、『5』の人だったら、ちょうどいい、と思って、そのことを書きました。
私の作品の中では、地味な内容に収まり、私のベスト10を自分で選んだことがあるのですが、その中にはどうしても入れることができなかった作品ですが、無刀会の代表で私の夫である大坪さんが、「すごくいい作品だ」と言って、とても褒めてくださったので、私にとっても大好きな作品になり得ました。
モーツァルトのクラリネット五重奏曲は、モーツァルトが大好きでライフワークの小説を書くまでになっている私にとって、それこそモーツァルトの音楽の中から選ぶとして、ベスト5に入るくらい好きな作品です。私は、愛の人であったモーツァルトが書いた中で、「フィガロの結婚」に張り合うくらい、クラリネット五重奏曲は、愛にあふれた作品だと思っています。一楽章からもう胸が締め付けられて涙がこぼれてきます。私のベスト盤であるプリンツの演奏は大変オススメですので、もしよろしければ、聴いてみてください。本当に素晴らしい盤です。
この作品は、そういうわけで、「舞台裏のルーレット」「ガラスの子供たち」に引き続いて、どこの賞にも出すこと無く、ただひたすら無刀会の同人誌「空華」のためだけの書いた作品です。本当は出したい気持ちもあったのですが、そんなことより、大切な「空華」の第五号への寄稿の方がよっぽど大事なことだったので、後悔はありません。自分では、意外と『5』について書けた方なんじゃないか、と自負しております。
表紙も、松下みずほさんに書いていただいたのですが、おばあちゃんに見せたら、「まるで私そのもののような表紙だ」と喜んでくれました。松下さんにはお会いしたことが無いのに、才能のある方ですので、イメージがちゃんとお沸きになるんでしょうか。的確にこの作品と私を表現していただいたことに、感謝の念しかありません。ありがとうございました。
本当は、この作品を思いついた時、はじめに題名を思いついたのですが、私のライフワークであるアマプレベスにまつわる小話にしようかと思っていたのです。モーツァルトがクラリネット五重奏曲を書いたいきさつ、裏話などを、書こうと思っていたのです。でも、なんとなくそうできませんでした。私はアマプレベス関連の小話として「サリエリの庭」というのを書いていますが、こちらは成功しました。でも、「クラリネット五重奏曲」が結果的に、親友に捧げる小説となったことは、良かったことだと思っています。喜んでもらえるかどうかは分かりませんが……。
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